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マーケットから読み解く日銀利上げ確率(東短リサーチ/東短ICAP)

日銀政策決定会合間を参照期間とした金利スワップの気配値が会合ごとにどの程度の政策変更を織込んでいるのか、いくつかの仮定を置いて類推することを試みます。

政策変更織込比率

2024年3月18,19日に開催された金融政策決定会合で日銀はマイナス金利政策の解除を決定、金利の正常化に踏み出しました。今後の追加利上げの有無は物価動向次第ということであり予見は困難ですが、ここでは金利スワップ市場の気配から市場はどの程度の政策変更の可能性を織り込んでいるのか、分析を試みたいと思います。
仮定のシナリオ
・政策金利変更は会合の翌営業日発効
・仮に今後追加利上げがあった場合、次の利上げは現在0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる。
・以後は0.25%単位で政策金利変更を行う。

以上の仮定に沿って、0.15%と0.25%の政策金利変更の織込み度合を会合毎に試算してみる。

なお、実際には、TONA金利やスワップ金利は金融政策だけではなく資金需給や先行きの金利観の影響などを反映し決定するものですが、本シミュレーションは純粋に金融政策の影響のみを反映するものと仮定して行います。

解説

金利スワップには各日銀政策決定会合間を観測期間にしたスワップの市場があります(日銀会合 OIS)。
例を挙げると、2023年12月限が-0.02%であれば12月の政策決定会合の最終日(12月19日)の翌営業日から次の決定会合の最終日(2024年1月23日)当日までのTONA金利の平均(厳密には期間中のTONAを複利計算したもの)と固定のスワップ金利(-0.02%)を交換する取引です。
したがって、
≫ 理屈の上では、このスワップ金利はこの間のTONAの平均値の市場予想を表している、ということになります。
≫ 観測期間をこのように設定することで、日銀会合 OISは、ある政策決定会合での政策決定を受けたTONA金利(の平均)の水準はいくらになるのか、という市場の予測を反映するものと類推することができます。
≫ それぞれの会合毎のスワップ金利の差分は、その会合を越えてどの程度TONA金利が変化すると市場が見ているかを表している、と言うことができます。