第1章 量的緩和下で進行するマーケットの異変
1 機能麻痺状態になった短期市場
・ 異変@:米国テロ後の流動性危機対応
・ NY連銀の空前の資金供給:ゼロ金利状態の出現も
・ Y2K時を一〇倍以上上回る巨大な超過準備
・ 資金余剰感が出てこない不気味な東京市場
・ 平時に戻れない日銀の流動性対策:NYとは逆に膨張
・ 異変A:交付税特別会計借入のレート高騰
・ コラム1 日銀当座預金とは何か?
2 当座預金ターゲットによる量的緩和とは
・ 日銀の説明
・ 量的緩和策が実体経済に効くパスは?
・ コラム2 準備預金とコールレートの関係
3 効果が見えてこないマクロ経済
・ 量的緩和で銀行のバランスシートは縮小する
・ いびつな普通預金の増加
4 「タンス預金化」する余剰資金
・ 金利水準の極度の低下
・ 「ブタ積み」への抵抗感が消えた:資金繰りのディシプリン喪失
・ 爆発的に増加しやすい警戒的資金需要
・ 外銀のマイナス金利
・ 短期市場参加者の縮小、撤退
・ 短期市場の機能低下を甘く見るな:国債暴落の恐れ
・ コラム3 「金利か量か?」古くからあるテーマ
第2章 量的緩和策はなぜ効かなかったのか
1 量的緩和はマネーの「ブラックホール」
・ 信用乗数の著しい低下
・ 異常な日銀券の動き
・ 政府余剰資金が四〇兆前後も滞留
・ 実は凄まじい規模で行われている資金供給
2 マネタリーベースという幻想
・ 量的緩和のためには逆に日銀券は減少すべき?
・ もはや成立しない信用創造のメカニズム
・ 国債発行はマネーサプライを増加させる
・ マネタリーベース・ターゲットに否定的な経済学者は多い
3 株式・為替市場に向かわない余剰資金
・ リスクマネーを創造する人がいない
・ 株式市場と量的緩和
・ 為替市場と量的緩和
・ 「ソロスチャート」の謎
4 日銀が当座預金引き上げに慎重だった理由 ---中長期債買切オペの急激な膨張
・ 中長期債買切オペ膨張のメカニズム
・ 制御不能な中長期債買切オペ増額は危険
・ 直接引受に近くなった短期国債
5 時間軸効果とポートフォリオリバランスの問題
・ 中期ゾーンを押し下げた時間軸
・ 「期待」に働きかける政策の限界
・ 不良債権処理を困難にさせる利鞘縮小:FRBの実質ゼロ金利政策と逆
6 なぜ国債買切オペ増額をしてもインフレが起きないのか
・ 月間四〇〇〇億円ペースは日銀券増発トレンドを上回っていた
・ 国債買切オペは金融調節にとって必要不可欠
・ NY連銀も国債買切オペを行っている
・ NY連銀のSOMA:残存期間の管理が重要
・ 乗り換え引受によって新ルールでの購入余地は意外に大きい
・ 買切オペを増額すればリバランス効果は高まるか?
・ 恐ろしいリバランス効果の反動
7 FRBの量的引き締め策は有効だったか
・ 八〇年前後のボルカーの量的引き締め策
・ 巧妙な政治的レトリック
・ 困難なインフレ期待の制御
・ 実質金利高騰の長期化でようやく鎮静
・ 万能ではなかった量的引き締め策
・ コラム4 サンフランシスコ連銀の金融政策ゲーム
第3章 誤解だらけのインフレターゲティング政策
1 過熱する導入議論
・ 自民党の日銀法改正議論
・ プライスレベルターゲティングの主張も
・ 経済学者七氏の「インフレ目標導入要請」
2 海外のインフレターゲティングの実態
・ 独立性の低い中央銀行ほど有効な政策
・ 誰が目標を設定するべきか?
・ 物価指数は何を使うか?:資産バブルとの関係は?
・ 「枠組み」であって「ルール」ではない
・ 導入に最適なタイミングはいつか?
3 未達成時の罰則規定をどうするか
・ 実際は罷免されていないニュージーランド
・ 徐々に薄まる"厳格さ"
・ 大きく逸脱しても責任を問われていないスウェーデン
4 スウェーデンのプライスレベルターゲティング
・ 導入の背景
・ 一九三三年から物価上昇
・ プライスレベルターゲティングの終了:生産・雇用への効果は限定的
・ 今の日本での実現は困難
第4章 日銀に打つ手はあるか ---追加緩和策を検討する
1 これまでの金融政策を延長する
・ 日銀当座預金残高引き上げ:既に「青天井」
・ 中長期債買切オペ増額
・ 公定歩合引き下げ:金融機関がますます「どんぶり勘定」に
・ コラム5 公定歩合とロンバート金利
・ 時間軸の強化:期待インフレ率への効果は薄い
・ 準備預金率の操作:ほとんど効果なし
2 為替レートを円安誘導する
・ 「非不胎化」という奇妙な言葉
・ 非不胎化は有効と主張される根拠
・ 非不胎化を許容しないFRB
・ 外貨購入による資金供給オペ:日銀法上は不可能ではないが
・ 外債買いオペ
・ 不良債権処理を進めなければ円安誘導は困難
3 変わり種の金融政策
・ マイナス金利導入
・ デリバティブ・オペ
4 非伝統的金融政策:「不健全な領域」
・ 一般企業への貸出
・ CP、社債、資産担保証券等の買い入れ
・ 株、土地の購入
・ ヘリコプターマネー散布(マネーレイン)
・ 不良債権処理に伴う日銀特融
第5章 日銀国債引受によるインフレ政策は可能か ---高橋財政の検証
1 インフレ政策導入に至る背景:構造改革の挫折
・ 小泉改革に通ずる井上準之助財政
・ 失業者の急増、農村の疲弊、テロの台頭
・ カッセルに影響され井上デフレを批判した湛山、亀吉
・ 調整インフレ策か穏やかなインフレ策か
2 インフレ政策の劇的な成功
・ 単なる「何でもあり」ではなかった
・ 劇的な景気回復:高い海外経済学者の評価
3 国債売りオペでインフレは制御できたか
・ 当初、日銀は既発債の買いオペを主張していた
・ 日銀当座預金増加、ゼロ金利がなくてもインフレは起きた
・ 国債売りオペに対する財界・株式市場の反発
・ インフレ制御に関する識者の懸念
・ 貨幣の流通速度が問題
4 インフレ政策下の日本経済の変化
・ 重化学工業への構造転換:単なるバブルではなかった
・ 「インフレ景気に取り残された人々」
・ 労働者の実質賃金は低下
5 高橋インフレ政策に対する海外の視線
・ 無責任に賞賛する声:深井日銀副総裁のヨーロッパ巡遊
・ ドイツ大使館書記官の寄稿
・ 日本国債はジャンクボンド化していた
6 行き詰まるインフレ政策
・ 収拾のつかないモラルハザード
・ 緊縮財政への転換と二・二六事件
・ 放慢財政に対する批判の声も多い
・ 馬場蔵相、輪をかけた積極論者
・ 終戦直後に巨大なヘリコプターマネー:ハイパーインフレーションに帰結
第6章 FRBの国債価格維持政策とアコード
1 アメリカにも存在したゼロ金利
・ 巨大な超過準備を警戒したFRB
・ 裏目に出た準備率引き上げ
・ 大恐慌からの脱出:輸出急増・軍備拡大
2 FRBの国債価格維持政策と「アコード」の締結
・ 銀行を守るための国債価格維持政策
・ 価格維持政策がソフトランディングを可能に
・ 金融政策のルネッサンス
・ 本来、日本でも望まれるアコード
・ コラム6 ビルズオンリー政策
3 デフレ下のアコードはどうなるか?
・ FRBに迫り来るゼロ金利
・ ECBに「不健全な量的緩和策」は可能か?
・ 「政府の銀行」機能を大幅に縮小されたイングランド銀行
・ コラム7 独自の哲学で行くロンドン市場
第7章 インフレ政策は日本を救うか?
1 現代の日本でインフレ政策は有効か
・ いずれの国のインフレ誘導も財政政策等とのパッケージ
・ 高橋是清的インフレ政策は有効か?
・ ”世界最大の中央銀行”に肥大している日銀
2 インフレターゲティング導入の際の警戒点
・ 国債価格をどうするか?
・ 「不健全な」金融政策に踏み込む場合は選挙で国民に問え
・ フォワードルッキングな引き締めは「命がけ」
・ インフレ目標を設定する場合は共同責任で
・ ゼロ金利政策の効果は過大評価
・ 政策パッケージとしての国民的「アコード」が必要だ
主要参考文献