加藤 出レポート

Kato's Report

本レポートは、金融市場のプロフェッショナル向けに、日銀ウォッチング、Fedウォッチング、金融市場分析などを中心に解説したものです。

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加藤 出(かとう いずる)
東短リサーチ(株)代表取締役社長チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを兼務後、2013年2月より現職。
マネーマーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB、BOE、中国人民銀行などの金融政策を分析している。
2007~2008年度東京理科大学経営学部非常勤講師。
2009年度中央大学商学部兼任講師。

著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年、2009年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)など。また、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、週刊エコノミスト、日経ヴェリタス、朝日新聞、ニッキンなどに寄稿。

テレビ東京「モーニング・サテライト」、「マネーの羅針盤」、NHK「NEWS WEB」、TBS「ビジネス・クリック」などに出演。

2018年4月19日号

書評ユヌス「3つのゼロの世界」

  1. <お知らせ>
    朝日新聞書評欄「ひもとく」
    「仮想通貨:反権威のパンク精神が源流」
    以下のURLをクリックしてご覧下さい。
    http://book.asahi.com/reviews/column/2018041400002.html

    テーマに沿って3冊の本を紹介する記事です。
    「教養としてのテクノロジー」伊藤穰一(NHK出版新書)
    「ブロックチェーン・レボリューション」D・タプスコット+A・タプスコット(ダイヤモンド社)
    「ハイエク全集第2期第2巻:貨幣論集」F・A・ハイエク(春秋社)

2018年4月17日号

書評ユヌス「3つのゼロの世界」

  1. <お知らせ>
    朝日新聞書評「3つのゼロの世界:貧困ゼロ、失業ゼロ、CO2排出ゼロの新たな経済」
    [著]ムハマド・ユヌス、[出版社]早川書房

    以下のURLをクリックしてご覧下さい。
    http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2018032500010.html

    文字数の制約で書けなかったポイントを3つ挙げてみますと、

    第一にユヌスは、「従来の銀行制度の欠陥」を問題提起している。
    彼がグラミン銀行を興す際、「旧来の銀行家や経済学者からばかげている」と言われた。
    小さな商売を始める人々に少額資金を融資する同行のマイクロクレジットは、担保や信用履歴を要求しないからである。

    「しかし今日、グラミン銀行は、信頼だけに基づいて年に25億ドルを900万人の貧しい女性に貸し付けている。2016年の返済率は98.96パーセントだ」
    「もし人間が、本当に資本主義的人間そのままの存在ならば、信頼ベースでお金を貸す銀行から借金した人は返済などしないだろう」

    「経済理論の盲点は、経済理論が想定する人間本性の盲点に由来する」
    「グラミン銀行が長年うまくいっていることからも、ほんものの人間は資本主義的人間とは大きく異なり、はるかにいい人間だとわかる」

    第二に著者は、「われわれは仕事を探す者ではない。仕事を創る者である」という哲学を持っている。
    人間は大昔は、会社での就職機会を探したのではなく、周囲の資源を工夫して利用しながら狩猟者や採取者として暮らしを立ててきた。
    「起業家のDNAは全人類共通のものだ」
    だからこそ、人々が貧困から脱出するための起業をマイクロクレジットなどのソーシャル・ビジネスでサポートすることは効果的なのだという。

    第三に、先進国の人間が「発展途上国の人間は経済成長を追い求めるのに必死で、環境問題にはさほど関心を持ってない」と思うのは誤解だとユヌスは強調している。
    例えば、バングラディシュの二酸化炭素排出量は世界の0.3%に過ぎないが、地球温暖化による海面上昇で2050年までに同国の国土の17%が恒久的に海水に浸り、1800万人が避難を強いられる、と同国では懸念されているからだ。

    などなど、興味深い視点が多々含まれている本でした。

2018年3月30日号

BIS幹部とボストン連銀総裁の危機意識

    1. BISボリオのインタビュー:日本の金融政策に特にあてはまる問題意識
    2. ボストン連銀ローゼングレンの政策バッファー議論:日本はもっと深刻だが・・・
    3. (余談)B級グルメ探訪:箱根駅伝上位入賞校の学食その1「日本体育大学」

2018年3月26日号

トランプ”貿易戦争”& IOER-FFスプレッド

    1. FRBウォッチ:利上げペースにとってのワイルドカードは“米中貿易戦争”の行方
    2. 縮小が予想されるIOER-FFスプレッド:利上げ織り込み確率の計算にも実は影響
    3. (余談)B級グルメ探訪:上海の世界最大スタバ店「リザーブ・ロスタリー」

2018年3月16日号

91年前の警告「現代語訳・銀行業務改善隻語」

  1. <お知らせ>
    先日の朝日新聞に掲載された書評です。
    「現代語訳・銀行業務改善隻語」
    [編]一瀬粂吉、[訳注]長野聡、[出版社]近代セールス社
    昭和金融恐慌の直後に、
    三十四銀行(後の三和銀行の母体のひとつ)の副頭取が
    金融業界に勤める人々に向けた警告の本です。

    http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2018030400009.html
    URLをクリックしてご覧下さい。

    本書に滲み出ている一瀬氏の強い危機感から推察すると、
    第一次大戦時の特需景気から昭和金融恐慌にかけての
    日本人のバブリーな感覚麻痺は相当なものだったようですね。
    文字数の制限で書評に引用できなかった「隻語」を一部紹介してみると、

    ・「米国大統領フーヴァ氏が1919年頃に食糧大臣であった時、節約宣伝の演説中に、日本語を使って『勿体ない、冥加に尽きる』という言葉を引用して、称揚した(ほめたたえた)ことがあった。その本家本元の現状はどうだろうか」
    ・「顧みれば、およそわが国民ほど奢侈に流れ、金銭を軽んじ、何物も粗末にし、華に走って実につかず、労せずして収入の多いことを望むなど、本末顚倒するもの宇内(世界)に比べるものがない。ましてや大借金国である国の状態については、特に反省しないということがあってはならない」
    ・「銀行も顧客も、共に実力相応を守ることがよい。破滅の根源は、結局、分相応を超えることにある。これも古今の一貫した鉄則である」
    ・「銀行を踏み台として、自己の栄達を図るものは危険である。営業振りが派手で、手腕を示そうとするものもまた危険である。むだに拡張することだけ知って、まとめることを知らないのも危険である」
    ・「役員の中には銀行を喰い物とし、またははじめより喰い物として出生したものも絶無ではない。思うに、その血、その筋、その肉、その骨は、概ね銀行、会社より搾取したるものである」
    ・「ある債務者は平然として放言する。借金しても心配の必要はない、心配するのは、ただ債権者のみであると。また別の人が言うには、金の無いものに向かって返金の催促をするのは、催促する側の誤りであると」
    ・「わが国を経済的困難から救うには、(略)根本は人間精神の立て直し、即ち国民性の改善いかんが重要となる」
    ・「自分はこの本の終わりに臨んで、まさに絶叫しようとしている、日本は国を挙げて真面目に立ち直れよ、と。更に再び絶叫しようとしている、まず自らを改善せよと」 

2018年3月12日号

日銀新体制スタート前に再確認すべきこと(2)

    1. 日銀法施行20年:旧日銀法下の戦時中よりも圧倒的に高い日銀保有国債GNP比
    2. 「財政ファイナンスではない」と黒田総裁は言うけれど
    3. (余談)B級グルメ探訪:ヘリコプターの羽根音が聞こえる?ワシントンの中華料理店

2018年3月5日号

黒田総裁「19年度出口間違いない」発言の解釈

    1. 今回の黒田発言は再任同意を円滑にするためのものだろう
    2. とはいえ、さすがの黒田氏も2期目ともなれば正常化を無視できないのでは?
    3. (余談)B級グルメ探訪:赤羽のシュウマイ、大衆食堂、おでん出汁割り

2018年2月22日号

日銀新体制スタート前に再確認すべきこと(1)

    1. 黒田総裁の戦略もリフレ派の主張も破綻したのに安倍首相には高評価
    2. 岩田副総裁が辞任していたらこうはならなかった日銀政策委員会
    3. (余談)B級グルメ探訪:「お前はまだグンマを知らない」とシャンゴ風スパゲッティ

2018年2月15日号

書評:「AIが変えるクルマの未来」「モビリティー進化論」

  1. <お知らせ>
    朝日新聞掲載書評(2月11日)

    「AIが変えるクルマの未来」自動車産業への警笛と期待
    [著]中村吉明(NTT出版)

    「モビリティー進化論」自動運転と交通サービス、変えるのは誰か
    [著]アーサー・ディ・リトル・ジャパン(日経BP社)

2018年2月13日号

インフレ2%は遠い中での日銀総裁人事

    1. 日本ではまだまだ遠い「安定的に2%をオーバーシュートする」インフレ率
    2. 次期日銀総裁は5年のタイムスパンを考慮して戦略を練る必要がある
    3. (余談)B級グルメ探訪:ニューヨークの「いきなりステーキ」「大戸屋」等々

2018年1月19日号

書評:「デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか」

  1. <お知らせ>
    「デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか」(東洋経済新報社)
    著:ライアン・エイヴェント(英エコノミスト誌シニア・エディター)
    http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2018011400011.html
    URLをクリックしてご覧下さい。

    文字数の関係で書評では紹介できませんでしたが、
    既存の優良企業がデジタル時代に適応することの難しさを、
    英エコノミスト誌の内実を自虐的にさらしながら論じた第5章も非常に面白いです。
    以下に引用しますと、

    ・大企業には潤沢な資金があり、優秀な社員もいる。大企業は変化に適応するには恵まれた立場にいるとは考えられないだろうか。
    ・ところが逆なのだ。企業価値の大部分を占める、社内体制に埋め込まれた「無形資本」そのものがあだになる。

    ・従来型の新聞社・雑誌社は紙媒体時代のベテラン記者にいかにデジタル時代の発想をさせるか、必死で社内討論している。
    ・(しかし)旧来型の会社にいると若手ですら違う発想がしづらい。若者も目の前にあるインセンティブに反応するし、元からある文化を吸収するからだ。
    ・テクノロジーに強いミレニアル世代を採用するだけでは、組織をデジタル時代の今に連れてくるには足りない。

    ・ある経済環境で傑出するのに最適化した社内文化を何十年もかけて進化させてきた企業は、新しい環境にその文化を適応させるのに非常に苦労する。
    ・古い世界で社員の定型業務をうまく回すのに役立っていた小さなインセンティブ構造がことごとく、新しい世界ではとてつもなく大きな足かせとなりかねない。

    ・(エコノミスト誌はスマホ・タブレット対応の開発を多々行ってきたが、)紙版の制作を魔法のように効率よくしてくれる社内体制が、デジタル化への努力を邪魔するのだ。
    ・スタートアップ企業のほうが新しいチャンスに乗じて圧倒的に成功するのは、まっさらな組織体で競争に望めるからという理由が大きい。
    ・破壊的変革にさらされた企業の調査結果を見ると、完全に違う方向に進むプロジェクトよりも、漸進的なイノベーションに投資しがちなことがわかる。

2018年1月5日号

キャッシュレス化の対極にある日本(3)

    1. 中国:ここでも使える電子マネー、ただし現金流通高は意外に増加
    2. フィンテックが加速する人員削減:4割もの早期退職募集が見られる北欧金融業界
    3. (余談)省力化戦略比較:大阪串かつ、北京中華麺、上海カラオケBOX、金沢海鮮料理
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